土地の所有関係に変更が生じれば、どのような理由においても土地の名義変更をしておく必要性が出てきます。例えば親から譲り受けた土地を、兄と弟で二分の一ずつ所有していたとします。そこには弟の家族が暮らしていたので、兄が自分の持分を弟に贈与した場合でも名義変更は必要になります。兄から譲り受けただけなので、利害が衝突する相手がいないと言えばその通りです。
売買のように売主から名義が移転するようなケースなら、他人が所有しているように思える状態のまま放置すればリスクがあるのは誰にでも分かりますが、身内の場合はそういった意識が薄くなる傾向があります。登記上の名義はそこに記載されている人だけに影響するものではありません。例えば二分の一の持分を持っている兄の家族にとっても影響が出る場合があります。兄が他界することになれば、兄の相続人がその持分を継承することになります。
息子や娘がいる場合は、その人たちにとっても大切な財産です。父親が持っていた権利を自分たちが受け継ぐのは当然なので、買い取ってほしいという話になる可能性もあります。その話に理が無いというわけではないので、無下に断ることもできません。また兄の債権者にとっても同様の意味を持ちます。
債権者にとっては重要な返済の担保として機能します。借金が返済出来なければ差押えの対象になりますし、売却して現金化することを要求してくる場合もあります。それらを考えれば、親しい間でも土地の名義変更は不可欠な手続きと言えます。